設立趣旨と沿革_

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ゲノム創薬・創発フォーラム設立趣旨
1998 年に設立された「ゲノム創薬フォーラム」の趣意書には、ゲノム創薬を以下のように
定義していた。

「医薬品を作り出す創薬という作業は、これまで一定の目的を定め、多数の化合物や天然
物をスクリーニングすることで行われてきた。例えば、新しい受容体を誰かが発見すれば、
それを創薬研究者たちは競って標的とした。現在も有効なこのアプローチを続けるうち、優
れた医薬品を発見するためには、まず標的自身が新しく、ユニークでなければならないこと
を私たちは知った。これを可能にする創薬における画期的変化がゲノム科学をベースにした
標的の発見とそのダイナミックな活用であった。これをゲノム創薬研究プロセス(Genomic
Drug Discovery Process) と呼ぼう。」 20 年前にこのように定義されたゲノム創薬プロセ
スは、現在多くの成功例を生んでいる。

2017 年の世界市場でのTop100 の医薬品において、日本発の製品は12 品目(低分子10、
バイオ2)であり米国に次いで世界2 位の地位にある。現在の成功を未来への更なる成功と
して継続発展させていく為にも、産学からの研究者が最新の仮説とデータを基に議論する場
を提供することは貴重である。特に、プレコンペティション段階の創薬研究を議論する場と
して、参加者の多様な経験・知識に基づき自由闊達で多様な意見を引き出し、日本発の新し
いゲノム創薬のアイデアを創発する場を提供したいと考えている。

ゲノム創薬の目指すものが、従来の治療薬のみならず、予防・未病へと進み、その診断や
予測にBig Data やAI が使われ、テクノロジーの進展はこれまで以上に加速している。この
ような状況のなかで『ゲノム創薬・創発フォーラム』は、創薬研究プロセスの創薬コンセプ
トの形成、ターゲット探索、モダリティー探索において、何をどのようになすべきかを産学
ともに考え、最新のゲノム科学・情報科学を取り込んだ創薬研究を強力に支援・推進するた
めのシステム作り、ひいては日本におけるゲノム創薬の成功と発展に寄与することを目標と
したい。企業、アカデミアからの多数の参加を期待する。

ゲノム創薬・創発フォーラム設立の背景
「ゲノム創薬フォーラム」は、野口照久代表および新井賢一副代表を中心に1998 年に設
立された。“Human genome project”を中心として急速に進歩しつつあった網羅的な遺伝子
発現プロファイル解析、疾患に関わる遺伝子多型の同定、タンパク質の発現と立体構造を解
析するプロテオミクスなど、日本のみならず世界の最先端研究を紹介し、その成果を如何に
創薬に取り込むかを産学からの参加者で共に議論してきた。

2013 年には新井賢一を代表として「ゲノム創薬・医療フォーラム」と改名し、網羅的なゲ
ノム解析による横の広がりと共に、疾患の治療(医療)という縦の広がりを加えた。がん治
療を例にとってみれば、薬剤の標的としてどの分子が最も適切であるのか、制がん剤の副作
用がどんなメカニズムで起こるのか、効く患者と効かない患者の差がどこにあるのか等、こ
れまで以上に医療の目標を明確にしていく必要があり、こうした視点から臨床開発企業や医
療機器に関与する企業、病院・医療関係者の参画も募り議論の輪を広げることを企画し、成
果を挙げてきた。しかし、2018 年には新井賢一が急逝したことを受け、「ゲノム創薬・医療
フォーラム」の解散が同年11 月に決議され、本活動は終息することとなった。

しかしながら、産学からの参加者が自由な雰囲気で最先端の科学を議論する場を提供する
フォーラムの存在意義は依然大きい。また、ゲノム科学と情報科学の統合がイノベーション
創出の鍵となっており、情報科学の専門性を持つアカデミア・企業の専門家の参画を募り議
論する場を提供することが社会と時代の要請である。

そこで我々は、これまでの体制を一新し、2019 年4 月を目途に、新たに「ゲノム創薬・
創発フォーラム」を設立することとした。「創発」とは部分の性質の単純な総和にとどまらな
い性質が全体として現れることを意味し、異なる分野の専門家が議論することにより所定の
意図を超えたイノベーションが誘発されることを期待して会の名称に取り入れた。

本会は、シンポジウムを年3回開催する。企業の創薬研究者とアカデミアの研究者による
積極的なコミュニケーションによってテーマを選定する。革新的創薬に繋がる可能性を秘め
た日本発の先見的な研究成果を紹介する機会をつくり、産学からの参加者の議論と交流の場
を提供し、明日の創薬に活かしたい。そのためには、フォーラムの計画と運営に、産学の方々
の協力が必須となる。

代表は松島綱治が務め、幹事を刷新する。中心とする疾患領域を、がん、炎症・免疫難病
とし、一層活発なフォーラムとして活動していきたい。

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